【玄関アプローチ】スロープの勾配はどのくらいがいい?【バリアフリー】

こんにちは。エクステリア&ガーデンデザイナー ふじさき かなこです。

今回は、「スロープ」について解説します。スロープとは、自転車や車椅子、幼児・高齢者などが通りやすいように床の段差を傾斜で処理した通路のことです。

せっかく買ったマイホーム、歳を重ねても愛着のある自宅に住み続けたいですよね。「ただこれからの長寿社会、いつまでも足腰が丈夫とは限らない。将来、足が不自由になった時に備えてスロープを付けたい。バリアフリーにしておきたい。」そんな風に考えている方が多いのか、スロープを付けたいというご要望はよくあります。

では、ひとくちにスロープと言いますが、車椅子の方が自力で昇り降りできる勾配がいくつかご存知ですか?

車椅子で昇り降りできる勾配とは

車椅子の利用者の方が自力で昇り降りできる勾配は、8.3%勾配(1/12勾配)以下です。8.3%と言われてもどのくらいかイメージしづらいと思うので、何パターンか絵を作ってみました。

 

<設定条件>

・道路から敷地までの高低差を60cmとします。

・玄関ポーチは敷地から30cmの高さとします。

・階段は1段15cmとします。

 

勾配60%のスロープ

勾配60%のスロープ

まずは勾配が60%のスロープです。絵を見ていただくと あきらかにキツイ勾配ですね。元気な人や軽いベビーカーで昇り降りするのも無理です。自転車を上げるのも厳しいと思います。スキーのジャンプ台に近いくらいの傾斜になります。危ないですね!

勾配30%のスロープ

勾配30%のスロープ

次に勾配30%のスロープです。ベビーカーや荷物カート、自転車などを上げることはなんとかできそうです。スキー場の中級者コースくらいの勾配です。のぼりは何とか行けても、くだりはかなり怖いと思います。

勾配15%のスロープ

勾配15%のスロープ

次に勾配15%のスロープです。やっと現実的な角度になってきました。これならなんとか、昇り降りできそうに見えます。でもまだ車椅子では厳しいです。介助者がいて車椅子でやっと昇り降りできる勾配というのが12.5%(1/8勾配)とされていますから、これでもまだ無理ということです。

勾配12.5%のスロープ(1/8勾配)

勾配12.5%のスロープ

次に勾配12.5%のスロープです。これが、 通常バリアフリーと言われるスロープの角度です。90cmの段差を解消しようとすると、現実的には7.2Mもの距離が必要ということです。しかもこれは介助者がいて、車椅子の人を昇り降りさせることのできる勾配です。まだ自力で昇り降りすることはできません。

では介助者がいればOKか?というとそう簡単なものでもありません。介助者が若い力のある人ならいいですが、車椅子を押す可能性が高い家族は誰でしょうか?一番可能性が高いのは配偶者。その時配偶者は何歳でしょうか?

私の父は病気で車椅子を利用しています。実家が遠いのでほとんどできていませんが、何回か車椅子での出入りを手伝ったことあります。その時はこの車椅子用12.5%のスロープを利用しましたが、一人ではとても厳しい。なんといっても重たいのです。超軽量といわれる車椅子でも7キロ超。そこに人が乗りますので、70キロの重さのものを昇らせたり降りさせたり・・・。母とふたりでソロリソロリ、何とか出入りしました。母はひとりでは出入りさせることができないので、介護のサービスの方にお願いしている状況です。

勾配8.3%のスロープ(1/12勾配)

 

勾配8.3%のスロープ

勾配8.3%(1/12勾配)のスロープです。これでやっと元気な車椅子利用者が自力で昇り降りできる勾配です。

・・・元気な車椅子利用者?そうです。結局、弱った方が自力で昇り降りするのは厳しい。介助者が必要ということになります。

個人住宅で使えるスロープを設置することは難しい

ここまで見ていただいておわかりだと思いますが、バリアフリーと呼べるスロープを設置するためには、かなりの広さが必要でかつお金もかかります。広いお宅であればよいと思いますが、敷地に余裕がない場合は 無理して設置する必要はないと思います。

では、敷地に余裕がない場合はどうしたらよいか。その場合は、移動時だけ設置する仮設のスロープや、昇降機があります。足が不自由になった、車椅子になった、と言っても人によって症状は様々。 状況に応じて適した道具を導入した方が経済的です。レンタルができますので、購入して無駄になることもありません。

仮設スロープ ダンスロープライトスリム ダスキンヘルスレントHP

車椅子昇降機 ゼロハイリフト150 ダスキンヘルスレントHP

スロープの勾配まとめ

スロープの勾配について解説しました。スロープを設置することで、他の外構が使いづらくなったり、費用がかかりすぎるくらいならば、無理して造る必要はありません。状況に応じてプランを考えましょう。

  • 介助者ありで車椅子が昇り降りできる勾配は 12.5%(1/8勾配)
  • 車椅子利用者が自力で昇り降りできる勾配は 8.3%(1/12勾配)

この数字を頭にいれつつ、スロープ計画を考えてみてください。

 

 

ツイッターやっています。ぜひフォローお願いします!