こんにちは。エクステリア&ガーデンデザイナー ふじさき かなこです。
私は絵画の解説本が好きでよく読んでいるのですが、ちょうど今読んでいる本が面白かったのでご紹介します。
「東京藝大で教わる西洋美術の見かた」佐藤 直樹著
一般的な入門書は有名な作品を時系列に羅列したものが多いのですが、この本はひとつひとつの作品を深く掘り下げる事で全体を知るというスタンスを取っています。
なので、絵画の解説本が全くの初めてという方には少々ハードルが高いかもしれません。でもじっくり読めば内容はかなり面白いですし、難しい専門用語も出てきません。ぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
Contents
犯罪者が宗教画を描くの!?
とても興味深かった章が「カラヴァッジョ」の話。
カラヴァッジョはバロック美術の先駆者となった天才肌の画家です。
スポットライトのような劇的な光表現が特徴的で、その後の絵画に大きな影響を与えました。
特に有名なのがこちら「聖マタイのお召し」。
徴税人マタイのもとにキリストが現れ「私に従いなさい」と言ったシーンを描いたものです。(マタイによる福音書9-9)
この作品はローマの人々に衝撃を与え、カラヴァッジョは一躍有名になりました。しかしその後、素行が悪くなりなんと殺人を犯して逃亡してしまうんですね。逃亡生活の末、カラヴァッジョは38才の若さで亡くなります。
私はカラヴァッジョがそんなに素行が悪かった事は知らなかったので、まずその事に驚きました。そして、逃亡中にも宗教画を描いている事にも驚きました。
何となく宗教画を描いている画家って、敬虔な信徒であるような気がしていたんですよね。
でもよくよく考えると、宗教画でありながら生々しい画家の心情が透けて見えるような作品も多いですし、別に宗教画の意味と画家の人格は結びついているわけではないものです。
そして罪を犯したからと言って、宗教画を描いてはいけない何てこともないはずですよね。何となく自分の料簡の狭さみたいなものを感じてしまいました。いけない、いけない。
成果品と信条
まあそんな感じでカラヴァッジョの生涯に驚いたのですが、この件に限らず当時の画家はクライアントがいて、要望に応じて絵を描いていた人が多いと思いますので、作品と信条が一致していないケースもあったのかもしれません。(素人なのでただの想像です。)
私自身は外構図の作図代行をメイン業務として行っています。
お仕事の中には、自分の信条とは合わないものもあるわけですが、そこは「作図代行」として黒子に徹する事を心掛けています。
仕事の中では、ちょっとした葛藤などもあります。友人に青臭い事を愚痴ったりもします。でもいつの世のどんな仕事もそんなものかもなあ……なんてことをカラヴァッジョの人生を読みながら思ったりしたのでした。
特に結論はないのですが、そんな話でした。