こんにちは。エクステリア&ガーデンデザイナーふじさき かなこです。
注文住宅の外壁・外構うちあわせで、イメージどおりにに仕上がるかどうかを左右する大切な色決め。カタログやイメージパースだけでなく、必ずサンプルを確認したいところです。
でもこのサンプル確認、案外難しいのをご存知ですか?サンプルと仕上がりの色が違う、なんてことがよくあるのです。
「イメージと違う!」にならならいためには、色の特性をよく理解しておくことが必要です。
色の面積効果
外壁・および外構のサンプル確認で一番気をつけたいのが「色の面積効果」と呼ばれるもの。
≪ 色の面積効果とは ≫
面積が大きくなるにつれて、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く見える錯覚のこと
例えば外壁や門塀の吹きつけ塗装の色を決める時。はじめはこんな小さなカラーキューブで色を絞ります。(大きさがわかるようにシャープペンを置いてみました。)
ここから数色に絞れたところで、A4サイズ程度のサンプル板をメーカーから取り寄せ、最終決定をしていきます。
壁の面積に比べてサンプルはずいぶん小さいですよね。そうすると実際塗った時、明るいカラーは飛んでしまって白っぽく見えるという失敗が起きてしまうんです。逆に暗い色はそれほど問題になりません。(詳しくは後述します。)
室内と屋外の明るさの違い
次に室内と屋外の明るさの違いについて考えてみましょう。私達が思っているより、室内と屋外には明るさに差があるんです。それが「イメージと違う!」を生んでしまいます。
まず室内の明るさはどのくらいなのでしょうか。明るさの単位はlx(ルクス)です。
- レストランの客室、講堂 200lx
- 受付、EVホール、教室 300lx
- 会議室、レストラン厨房 500lx
- 手術台 20,000lx
外構の打ち合わせをする部屋は学校の教室くらいの明るさですよね。300ルクス、明るくても500ルクス程度でしょうか。
それに対して屋外はこんなに明るいんです。
- 屋外快晴 100,000lx
- 屋外曇り 30,000lx
屋外って曇りでも手術台より明るいんですね!それだけ明るさの違う場所で同じ色を見たら・・・。明るい場所では白っぽい色は反射して薄く見えます。
だから仕上がった外壁は、室内で見たサンプルより明るく見えてしまうんです。そして暗い色は本来であれば、色の面積効果でより暗く見えるはずですが、外が明るいのであまり差を感じないということになります。
色が決まったら、必ず外でサンプル確認をしてください。これは絶対やりましょう。
自然素材は色幅がある
次にイメージと違う、を生み出しやすいのが自然素材の色幅です。工業製品のタイルや塗料でも、製造ロットにより微妙な色の違いが出ます。それよりもっと自然に近い、石やレンガは産地、採掘時期によって同じ商品でも色が違うということが起こりやすいです。また同じ時期の商品の中でも色ムラがあります。
次の写真をみてください。濃いところから薄いところまで、かなりの色幅があるのがわかりますね。
これはいくらサンプルを確認しても、現場に材料が届くまではわからないですし、施工業者にもどうすることもできないのです。
ですから、自然素材を使う時、ある程度の色幅があることを覚悟しておく、ということが大事です。あまりにも違う場合は交換も可能ですが、ほんの少しの違いは仕方ないと諦めていただくよりしょうがありません。自然素材に決めたら、その微妙な色の違いを楽しめるくらいのおおらかな心でいてください。
ただ、少しでもイメージ違いをなくすために、複数のサンプルを確認しておくことが有効です。これだけ色幅があるんだな・・・と覚悟しておくということです。
サンプルの見方まとめ
サンプルと実際に仕上がった現場のイメージが違ってしまう原因を解説しました。気をつけることは次の3つです。
- 明るい色を選ぶ時は、少し濃い目のものを選ぶ
- 必ず外でサンプル確認をする
- 自然素材は色幅があるので、複数のサンプルを確認する
正しい色の知識を持って、サンプルと完成現場のイメージの差を埋めてみてください。すてきなお家ができますように。
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